アニメ・映画
2023/07/19
【後編】『シルエット』から始まった『NARUTO-ナルト-』との歩み。KANA-BOONが歌詞に込めた「大事にしたかったもの」とは?
4人組ロックバンド「KANA-BOON」。テレビアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』のオープニングテーマ『シルエット』をはじめ、これまでに『NARUTO-ナルト-』作品の楽曲を数多く手がけてきました。
メンバーの谷口鮪さん、古賀隼斗さん、小泉貴裕さん、遠藤昌巳さんは、全員が作品の大ファン。メジャーデビュー前からアニメのオープニングテーマをつくることを目標にしていたといいます。そんな『NARUTO-ナルト-』への熱い思いは、それぞれの楽曲にどう反映されているのでしょうか? 7年にわたる『NARUTO-ナルト-』とKANA-BOONの歩みについて、お話を伺いました。(前後編の後編)
メンバーの谷口鮪さん、古賀隼斗さん、小泉貴裕さん、遠藤昌巳さんは、全員が作品の大ファン。メジャーデビュー前からアニメのオープニングテーマをつくることを目標にしていたといいます。そんな『NARUTO-ナルト-』への熱い思いは、それぞれの楽曲にどう反映されているのでしょうか? 7年にわたる『NARUTO-ナルト-』とKANA-BOONの歩みについて、お話を伺いました。(前後編の後編)
「すごい曲になる」メンバー全員の思いが100%詰まった名曲『シルエット』
――KANA-BOONさんがはじめて『NARUTO-ナルト-』の楽曲を手がけたのは2014年。テレビアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』のオープニングテーマ『シルエット』でした。最初に楽曲提供の話が決まった時の感情を教えてください。
谷口鮪さん(以降、谷口):実はデビュー前、レコード会社の人に「KANA-BOONとしてやりたいこと、叶えたいことは何か」と聞かれた時から「『NARUTO-ナルト-』のアニメのオープニング曲をやりたいです」と言っていたんです。本当にそのチャンスをいただけると聞いた時はもう、感謝、感謝ですよね。デビューしてから嬉しいことはたくさんありましたけど、その中でも一際大きな喜びを感じる出来事でした。
――なぜ、そこまで『NARUTO-ナルト-』の主題歌にこだわっていたのでしょうか?
谷口:昔はアニメのテーマソングといえば、いわゆるアニソンが主流で、ロックバンドが楽曲を提供することってほとんどなかったように思います。でも『NARUTO-ナルト-』はアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がテーマ曲を歌っていたりして、アニメを通じて中高生がたくさんのロックバンドに出会うきっかけにもなっていたんですよね。そこに僕らも参加したい、名前を刻みたいっていう思いは強かったです。
小泉貴裕さん(以降、小泉):当時、アジカンの曲が流れるかっこいいオープニングに胸を躍らせていた僕らが、今度は曲を提供する側になる。喜びと同時にプレッシャーも感じましたが、曲を作りあげていく中でどんどん楽しくなっていきました。どんな映像が流れて、そこにKANA-BOONの音楽がのることで、どんな相乗効果が生まれるのか。想像するだけでワクワクしましたね。
古賀隼斗さん(以降、古賀):あの時は、事前に「こんな感じにしよう」みたいな話し合いもなく、スタジオで音を鳴らし始めたら、バーっと形になっていったんです。メンバー全員『NARUTO-ナルト-』が好きで、言葉を交わさなくてもそれぞれの熱量が100%注ぎ込まれていくような感覚があって。作っていく段階から「これはすごい曲になるぞ」っていう確信がありましたね。
――『シルエット』の歌詞についてもお伺いします。特に印象的なのは「大事にしたいもの持って大人になるんだ」というフレーズ。火影への思いを持ち続け、実際に夢を叶えたナルトの姿にすごく重なります。
――なぜ、そこまで『NARUTO-ナルト-』の主題歌にこだわっていたのでしょうか?
谷口:昔はアニメのテーマソングといえば、いわゆるアニソンが主流で、ロックバンドが楽曲を提供することってほとんどなかったように思います。でも『NARUTO-ナルト-』はアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がテーマ曲を歌っていたりして、アニメを通じて中高生がたくさんのロックバンドに出会うきっかけにもなっていたんですよね。そこに僕らも参加したい、名前を刻みたいっていう思いは強かったです。
小泉貴裕さん(以降、小泉):当時、アジカンの曲が流れるかっこいいオープニングに胸を躍らせていた僕らが、今度は曲を提供する側になる。喜びと同時にプレッシャーも感じましたが、曲を作りあげていく中でどんどん楽しくなっていきました。どんな映像が流れて、そこにKANA-BOONの音楽がのることで、どんな相乗効果が生まれるのか。想像するだけでワクワクしましたね。
古賀隼斗さん(以降、古賀):あの時は、事前に「こんな感じにしよう」みたいな話し合いもなく、スタジオで音を鳴らし始めたら、バーっと形になっていったんです。メンバー全員『NARUTO-ナルト-』が好きで、言葉を交わさなくてもそれぞれの熱量が100%注ぎ込まれていくような感覚があって。作っていく段階から「これはすごい曲になるぞ」っていう確信がありましたね。
――『シルエット』の歌詞についてもお伺いします。特に印象的なのは「大事にしたいもの持って大人になるんだ」というフレーズ。火影への思いを持ち続け、実際に夢を叶えたナルトの姿にすごく重なります。
谷口:実は、歌詞に関しては作品に寄せようと意識して書いたわけではないんです。子どもの頃から漫画やアニメを見て育ってきた僕らが感じていることを歌詞にすれば、自然と『NARUTO-ナルト-』の世界観にリンクするだろうと思っていましたから。
「大事にしたいもの持って大人になるんだ」のフレーズも、その時の思いを素直に表したものです。当時、僕らが大事にしたかったのは、メジャーデビュー前、ライブハウスに出始めた頃の恩師。そして、無名のKANA-BOONを見ようと、そこに足を運んでくれた最初のファンたちです。『シルエット』の歌詞を書いている時も、その人たちの顔が不思議と浮かんできました。
――KANA-BOONの存在が大きくなっていく中でも、そうした最初のつながりを大事にしていこうと。
谷口:そうですね。KANA-BOONが初めて大阪のBIGCATというライブハウスでワンマンをやった時も、最初から応援してくれていたファンが最前列近くにいて。見つけた瞬間、たまらない気持ちになりました。あの姿を僕は一生忘れないし、この人たちのためにもKANA-BOONという場所を守り抜こうと。そんなことを思いながら『シルエット』の歌詞を書きました。ナルトがずっと大事にしてきた仲間や火影への思いと、僕らが大事にしたいと思っているものは、どちらも同じくらい大きいんじゃないかと思います。
「大事にしたいもの持って大人になるんだ」のフレーズも、その時の思いを素直に表したものです。当時、僕らが大事にしたかったのは、メジャーデビュー前、ライブハウスに出始めた頃の恩師。そして、無名のKANA-BOONを見ようと、そこに足を運んでくれた最初のファンたちです。『シルエット』の歌詞を書いている時も、その人たちの顔が不思議と浮かんできました。
――KANA-BOONの存在が大きくなっていく中でも、そうした最初のつながりを大事にしていこうと。
谷口:そうですね。KANA-BOONが初めて大阪のBIGCATというライブハウスでワンマンをやった時も、最初から応援してくれていたファンが最前列近くにいて。見つけた瞬間、たまらない気持ちになりました。あの姿を僕は一生忘れないし、この人たちのためにもKANA-BOONという場所を守り抜こうと。そんなことを思いながら『シルエット』の歌詞を書きました。ナルトがずっと大事にしてきた仲間や火影への思いと、僕らが大事にしたいと思っているものは、どちらも同じくらい大きいんじゃないかと思います。
ナルトからボルトへ続く『バトンロード』
――『シルエット』がリリースされた翌年の2015年には、映画『BORUTO-NARUTO THE MOVIE-』の主題歌『ダイバー』を、そして2017年にはテレビアニメ『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』のオープニングテーマ『バトンロード』を手がけられています。ナルトからボルトへと受け継がれる物語の楽曲を作るにあたって、意識したことを教えてください。
谷口:まずはナルトの物語が素晴らしいエンディングを迎え、そして、ボルトの物語が新しく始まる。『ダイバー』の「実を結ぶ」という歌詞には、終わりと始まりを結ぶという意味も込められています。ナルトとボルトの生き方は違うけど、ボルトには偉大な父親を超えるくらいの存在に成長してほしい。そんな思いもありましたね。
谷口:まずはナルトの物語が素晴らしいエンディングを迎え、そして、ボルトの物語が新しく始まる。『ダイバー』の「実を結ぶ」という歌詞には、終わりと始まりを結ぶという意味も込められています。ナルトとボルトの生き方は違うけど、ボルトには偉大な父親を超えるくらいの存在に成長してほしい。そんな思いもありましたね。
――確かに『ダイバー』の歌詞からは、ボルトを励ますような温かい目線を感じます。一方で『バトンロード』はナルトからバトンを受け継いだボルトに対してエールであると同時に、KANA-BOONに続くバンドへの思いもにじんでいるような気がしました。たとえば「理想 思想 君だけの軌道に添うものだけは手放さないでよ」「砕けたあの夜も 過去だと笑い飛ばす そんな日が来るから」という歌詞は、みなさんの経験をふまえたメッセージであるようにも受け取れたのですが、いかがでしょうか?
谷口:『バトンロード』を作った時点ではまだ、KANA-BOONから影響を受けた世代のアーティストは出てきていなかったんですけど、最近になってフェスなどで「高校生の時に聞いていました」とか「カバーしていました」っていう子たちと一緒になることが増えてきました。なんか、ロマンがありますよね。
だから『バトンロード』の歌詞は、これから時間が経って 僕らからバトンを受け継いでくれる後輩が増えていくほど、より深みを増していくんじゃないかなと思います。まあ、今はバトンを渡す気なんて、さらさらないんですけど(笑)。ただ、譲らないまでも、たまにバトンを貸してあげたり、背中を見せたりといった機会は増えていくだろうから、そこでまた『バトンロード』という曲に新たな意味が生まれてくるんじゃないですかね。
――同じ曲でも作った当時と今、そして10年後では、それを歌う谷口さんの心情も大きく変わっていくんですね。
谷口:そうですね。たとえば『シルエット』の「大事にしたいもの持って大人になるんだ」のフレーズは、あの頃の自分からの“問い”であるようにも感じます。「今のお前は、ちゃんと胸を張ってそれを歌えているのか?」って。
だから『バトンロード』の歌詞は、これから時間が経って 僕らからバトンを受け継いでくれる後輩が増えていくほど、より深みを増していくんじゃないかなと思います。まあ、今はバトンを渡す気なんて、さらさらないんですけど(笑)。ただ、譲らないまでも、たまにバトンを貸してあげたり、背中を見せたりといった機会は増えていくだろうから、そこでまた『バトンロード』という曲に新たな意味が生まれてくるんじゃないですかね。
――同じ曲でも作った当時と今、そして10年後では、それを歌う谷口さんの心情も大きく変わっていくんですね。
谷口:そうですね。たとえば『シルエット』の「大事にしたいもの持って大人になるんだ」のフレーズは、あの頃の自分からの“問い”であるようにも感じます。「今のお前は、ちゃんと胸を張ってそれを歌えているのか?」って。
――2022年に発表した『きらりらり』(テレビアニメ『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』オープニングテーマ)には、「大事にしたいものを持って大人になれたよ」という歌詞も登場します。『シルエット』では「大事にしたいものを持って大人になるんだ」と、ある種の決意表明の部分もあったと思いますが、7年越しの『きらりらり』ではそれを言い切れるようになった。火影になる夢を叶えたナルトのように、KANA-BOONも一つの思いを貫き通してきたんですね。
谷口:僕ら自身がその思いを裏切らずにいれたというか、信念を持って大切に『シルエット』を歌ってきたからこそ『きらりらり』で「なれたよ」と言い切れたのだと思います。
そうやって『シルエット』と『きらりらり』をつなげることができたのも、本当にこの作品に関わった全ての方々のおかげです。 岸本斉史先生はもちろん、アニメに関わる制作スタッフのみなさんが一つひとつの線画を書き連ねてきてくださったから今がある。『きらりらり』は、そんな感謝の思いを伝えたくて作った曲でもありますね。
そうやって『シルエット』と『きらりらり』をつなげることができたのも、本当にこの作品に関わった全ての方々のおかげです。 岸本斉史先生はもちろん、アニメに関わる制作スタッフのみなさんが一つひとつの線画を書き連ねてきてくださったから今がある。『きらりらり』は、そんな感謝の思いを伝えたくて作った曲でもありますね。
ナルトたちと一緒に世界中を巡りたい
――最後にみなさんにお聞きしたいのですが、『NARUTO-ナルト-』に関わる前と後で、作品に対する思いなどに変化はありましたか?
遠藤昌巳さん:僕がKANA-BOONに加入したのは2020年なので、『シルエット』からの『NARUTO-ナルト-』とのつながりや、その時々でメンバーがどんなことを感じていたかをリアルタイムで共有できているわけではないんです。それでも、ライブで『シルエット』や『ダイバー』『バトンロード』をやると本当に盛り上がるし、特別な曲だと感じることができる。あらためて、『NARUTO-ナルト-』という作品の偉大さにも気付かされましたね。
小泉:『NARUTO-ナルト-』は小学生の頃から大好きでしたけど、こうやって関わらせてもらうようになってから、さらに大事な存在になりましたね。作中でナルトが成長していくのと同時にバンドも成長していったと思いますし、一緒に歩んできたような感覚があります。あらためてアニメのシーンを見返すと、その時に自分たちがどんなことを考えていたか、ありありと思い出せるんですよ。本当にKANA-BOONの歴史に深く刻まれた作品なんだなと思います。
――古賀さん、谷口さんはいかがでしょう?
遠藤昌巳さん:僕がKANA-BOONに加入したのは2020年なので、『シルエット』からの『NARUTO-ナルト-』とのつながりや、その時々でメンバーがどんなことを感じていたかをリアルタイムで共有できているわけではないんです。それでも、ライブで『シルエット』や『ダイバー』『バトンロード』をやると本当に盛り上がるし、特別な曲だと感じることができる。あらためて、『NARUTO-ナルト-』という作品の偉大さにも気付かされましたね。
小泉:『NARUTO-ナルト-』は小学生の頃から大好きでしたけど、こうやって関わらせてもらうようになってから、さらに大事な存在になりましたね。作中でナルトが成長していくのと同時にバンドも成長していったと思いますし、一緒に歩んできたような感覚があります。あらためてアニメのシーンを見返すと、その時に自分たちがどんなことを考えていたか、ありありと思い出せるんですよ。本当にKANA-BOONの歴史に深く刻まれた作品なんだなと思います。
――古賀さん、谷口さんはいかがでしょう?
古賀:僕にとって『NARUTO-ナルト-』はずっと憧れでしたが、関わりが深くなるにつれ、常に隣にいる親友のようにも思えてくるようになりました。今では、それくらい特別な存在になっています。
あとは、『シルエット』以降、 『NARUTO-ナルト-』を通じてKANA-BOONを知ってくれる人が本当に増えたんですよ。そこから新しくファンになってくれる人もいたし、僕らの知らないところで『シルエット』や『バトンロード』をカバーしてくれる人たちもいるみたいで。そういう新しいつながり、出会いをもたらしてくれたという点でも、『NARUTO-ナルト-』には本当に感謝しています。
谷口:古賀が言ってくれたように、僕らにとって『NARUTO-ナルト-』がつないでくれたものって本当に大きくて。たとえば、小学生の時にアニメを通じてKANA-BOONを知ってくれた子どもが成長して、僕らのライブに来てくれたりする。それってすごくないですか?
あとは、『シルエット』以降、 『NARUTO-ナルト-』を通じてKANA-BOONを知ってくれる人が本当に増えたんですよ。そこから新しくファンになってくれる人もいたし、僕らの知らないところで『シルエット』や『バトンロード』をカバーしてくれる人たちもいるみたいで。そういう新しいつながり、出会いをもたらしてくれたという点でも、『NARUTO-ナルト-』には本当に感謝しています。
谷口:古賀が言ってくれたように、僕らにとって『NARUTO-ナルト-』がつないでくれたものって本当に大きくて。たとえば、小学生の時にアニメを通じてKANA-BOONを知ってくれた子どもが成長して、僕らのライブに来てくれたりする。それってすごくないですか?
海外での影響力も大きくて、最近サウジアラビアでライブをしたんですけど、言葉は通じなくても『シルエット』を歌うと本当に盛り上がるんです。そもそも『NARUTO-ナルト-』と関わらなければ僕らが海外でライブをすることもなかったと思うから、これも作品がくれたご縁ですよね。
最近はツアーで日本や世界を回る時に、ナルトやボルトと一緒に旅をしているような感覚があります。これからも彼らと一緒にいろんな場所へ行きたいし、もっとたくさんの人たちと出会いたい。『NARUTO-ナルト-』はある意味、僕らがバンドを続けていられる原動力の一つかもしれませんね。
最近はツアーで日本や世界を回る時に、ナルトやボルトと一緒に旅をしているような感覚があります。これからも彼らと一緒にいろんな場所へ行きたいし、もっとたくさんの人たちと出会いたい。『NARUTO-ナルト-』はある意味、僕らがバンドを続けていられる原動力の一つかもしれませんね。
取材・文:榎並紀行(やじろべえ)
写真:小野奈那子
写真:小野奈那子
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