NARUTOコラム
2023/07/13
これがリアル「木ノ葉旋風」だ! 総合格闘界の超新星・平良達郎選手にNARUTO体術の数々を再現してもらった
さまざまな忍術が登場する『NARUTO-ナルト-』の中で、体術のみを駆使して戦うキャラクターがいる。マイト・ガイとロック・リーだ。特にロック・リーにいたっては、そもそも忍術を使うことができず、根性のみで極めた体術で相手を無双する稀有な存在だ。
彼らの体術は、どれほどの威力があるのか? 実践の戦いの場において、使用できる局面はあるのか? プロの格闘家に技を再現してもらい、検証してみることにした。
彼らの体術は、どれほどの威力があるのか? 実践の戦いの場において、使用できる局面はあるのか? プロの格闘家に技を再現してもらい、検証してみることにした。
ご協力いただくのは、総合格闘家の平良達郎選手(23歳)。第8代修斗世界フライ級チャンピオンであり、プロアマ通じて無敗(25戦25勝)という異次元の強さで知られている。現在は世界最高峰であるアメリカの総合格闘技団体「UFC」(Ultimate Fighting Championship)に参戦し、そこでも3戦3勝というスーパーファイターである。(※2023年5月現在)
なぜ、こんなにすごい格闘家が協力してくれるかというと、実は平良選手が『NARUTO-ナルト-』の大ファンだから。
なぜ、こんなにすごい格闘家が協力してくれるかというと、実は平良選手が『NARUTO-ナルト-』の大ファンだから。
というわけで、今回はそんな平良選手に、『NARUTO-ナルト-』に登場する体術を実践していただく。まずは、平良選手の強さの秘密や『NARUTO-ナルト-』愛について伺い、記事後半では実際に体術を驚きのクオリティで再現してもらった。
目次
――UFC(Ultimate Fighting Championship)というと、格闘技にさほど詳しくない人でもなんとなく名前は聞いたことがあるくらいメジャーですが、格闘家の方からするとどんな位置付けなのでしょうか?
平良:プロになりたての頃は雲の上の世界というか、目指していい場所なのかどうかすら分からなかったですね。所属ジム(THEパラエストラ沖縄)の会長と修斗のベルトを獲ったあとの展望などを話すようになり、UFCという選択肢も見えてきたんだなと。それからは素直にUFCに出たいと思えるようになりました。
去年、本当にUFCと契約して出場が決まった時は夢のようでした。格闘技を始めたばかりの頃は、アメリカで戦うことなんて想像もしていなかったので。
――UFCに参戦するようになってから、自分のなかで何か変化した部分はありますか?
平良:前よりもっと、練習が楽しくなりましたね。
平良:プロになりたての頃は雲の上の世界というか、目指していい場所なのかどうかすら分からなかったですね。所属ジム(THEパラエストラ沖縄)の会長と修斗のベルトを獲ったあとの展望などを話すようになり、UFCという選択肢も見えてきたんだなと。それからは素直にUFCに出たいと思えるようになりました。
去年、本当にUFCと契約して出場が決まった時は夢のようでした。格闘技を始めたばかりの頃は、アメリカで戦うことなんて想像もしていなかったので。
――UFCに参戦するようになってから、自分のなかで何か変化した部分はありますか?
平良:前よりもっと、練習が楽しくなりましたね。
総合格闘技って、いろいろなバックボーンを持った選手がいるんです。特にUFCは世界中から格闘エリートが集まる大会で、寝技、レスリング、ボクシングなど何かしらの技術を極めた人たちばかり。そうした選手をどうやれば倒せるか、以前よりも考えながら練習することが多くなって、総合格闘技自体が楽しくなっていきましたね。
――平良選手が格闘技を始めたのは高校1年生の時ですよね。でも、UFCに出場するような選手は、小さい頃から何かしらの格闘技をやってきていると。
平良:そうですね。僕はそれまでは野球しかしていませんでした。もちろん、僕のように格闘技のバックボーンがなく出場している選手もいると思いますが、大体は格闘エリートです。そうしたレベルの高い選手たちと競い合えるのは、格闘技の競技者として幸せなことだなと思います。
――平良選手の兄弟子でもある岡田さんは、ご自身も修斗の元チャンピオンでいらっしゃいます。岡田さんにとっても、UFCは特別な存在なのでしょうか?
――平良選手が格闘技を始めたのは高校1年生の時ですよね。でも、UFCに出場するような選手は、小さい頃から何かしらの格闘技をやってきていると。
平良:そうですね。僕はそれまでは野球しかしていませんでした。もちろん、僕のように格闘技のバックボーンがなく出場している選手もいると思いますが、大体は格闘エリートです。そうしたレベルの高い選手たちと競い合えるのは、格闘技の競技者として幸せなことだなと思います。
――平良選手の兄弟子でもある岡田さんは、ご自身も修斗の元チャンピオンでいらっしゃいます。岡田さんにとっても、UFCは特別な存在なのでしょうか?
岡田遼さん(以降、岡田):そうですね。UFCは、世界中の全格闘家が目指す夢の舞台。それこそオリンピックやサッカーのワールドカップのような位置付けで、誰もが出場できるところではありませんから。もちろん、僕自身も目指していた時期がありました。修斗でチャンピオンになった後、さまざまなアプローチで出場の道を探りましたが、契約に至ることはできなくて。
そんな、僕が届かなかった舞台に達郎(平良選手)が立っている。実際に、達郎がラスベガスでUFCの契約書にサインをする姿も目の前で見ましたし、これまでの3戦は全てセコンドにもついていますが、自分自身の夢の続きを見させてもらっているようで感動しましたね。
――これまでにもUFCには多くの日本人が参戦していますが、王座には届いていません。平良選手にかかる期待は大きいですよね。
岡田:達郎が日本人初のUFCチャンピオンになる可能性は、十分にあると信じています。実際、いきなり3連勝して、アメリカでも「この日本人、何なの?」っていう感じで見られていると思いますよ。
彼は格闘技のバックボーンがなかったのに、思考しながら鍛錬することで強くなってきている。それこそ、 もともとは落ちこぼれていたナルトくんが火影を目指したように、達郎も頂点に立ってくれるんじゃないかと。
そんな、僕が届かなかった舞台に達郎(平良選手)が立っている。実際に、達郎がラスベガスでUFCの契約書にサインをする姿も目の前で見ましたし、これまでの3戦は全てセコンドにもついていますが、自分自身の夢の続きを見させてもらっているようで感動しましたね。
――これまでにもUFCには多くの日本人が参戦していますが、王座には届いていません。平良選手にかかる期待は大きいですよね。
岡田:達郎が日本人初のUFCチャンピオンになる可能性は、十分にあると信じています。実際、いきなり3連勝して、アメリカでも「この日本人、何なの?」っていう感じで見られていると思いますよ。
彼は格闘技のバックボーンがなかったのに、思考しながら鍛錬することで強くなってきている。それこそ、 もともとは落ちこぼれていたナルトくんが火影を目指したように、達郎も頂点に立ってくれるんじゃないかと。
――平良選手は自身の格闘家としての特徴を、どのように捉えていますか?
平良:試合前には「ちゃんと動けるかな……」とか、いろいろな感情が芽生えるんですけど、いざ始まってしまえばアグレッシブにいけるところが一番の特徴かなと思います。だから、最近は始まる前にアレコレ考え過ぎず「当日の自分に任せよう」みたいなマインドになっていますね。選手としての理想は、どんな相手に対してもフィニッシュ(※判定ではなく、制限時間内に打撃や寝技で決着をつけること)を狙えるようになることです。
――岡田さんは、総合格闘家としての平良選手のすごさはどこにあると見ていますか?
岡田:まず技術面では、総合格闘技におけるほぼ全ての技術を、高水準で習得していること。三代目火影(猿飛ヒルゼン)が、バランス良く全ての能力に長けているのと同じですね。
平良:試合前には「ちゃんと動けるかな……」とか、いろいろな感情が芽生えるんですけど、いざ始まってしまえばアグレッシブにいけるところが一番の特徴かなと思います。だから、最近は始まる前にアレコレ考え過ぎず「当日の自分に任せよう」みたいなマインドになっていますね。選手としての理想は、どんな相手に対してもフィニッシュ(※判定ではなく、制限時間内に打撃や寝技で決着をつけること)を狙えるようになることです。
――岡田さんは、総合格闘家としての平良選手のすごさはどこにあると見ていますか?
岡田:まず技術面では、総合格闘技におけるほぼ全ての技術を、高水準で習得していること。三代目火影(猿飛ヒルゼン)が、バランス良く全ての能力に長けているのと同じですね。
――ちょくちょく『NARUTO-ナルト-』で例えてくださってありがたいです(笑)。
岡田:僕も『NARUTO-ナルト-』大好きなんで(笑)。でも、冗談抜きでそうなんですよ。普通は格闘技を初めて10年くらいかかってやっと習得できるような技の数々を、達郎は20代前半にして極めている。この年で、その境地に至っているのは本当にすごいことだと思います。
岡田:僕も『NARUTO-ナルト-』大好きなんで(笑)。でも、冗談抜きでそうなんですよ。普通は格闘技を初めて10年くらいかかってやっと習得できるような技の数々を、達郎は20代前半にして極めている。この年で、その境地に至っているのは本当にすごいことだと思います。
あと、メンタル面では達郎も言っていましたが、アグレッシブに攻められるところ。これが、並の選手はなかなかできないんです。攻めるということは、そのぶん隙も生まれ、カウンターを食らうリスクも出てきますから。
総合の試合というのはリスクをとるか安全(セーフ)をとるか、局面ごとに選択の連続なんですけど、僕も含めて多くの選手はセーフをチョイスしがち。でも、達郎の場合、普通はセーフを選びそうな局面でもリスクをとって果敢に攻めたりするんです。本当に勇敢な選手ですよね。試合前はネガティブで、ビビリのくせに(笑)。
――過去の平良選手の試合を見たのですが、平良選手の打撃で相手がガクッとなった一瞬の隙をつき、一気にバックへ回ってフィニッシュをとっていました。あそこで果敢に攻められるのが、平良選手なんですね。
岡田:そのシーンでいうと、打撃を受けた相手は完全に失神しているわけではないので、反撃してくるかもしれないわけです。普通の選手はそう考え、せいぜい上のポジションをとって相手を制圧している形を見せ、ジャッジに良い印象を与えようとします。でも、達郎はそこで積極的にバックをとりにいくチョイスをする。だから、試合を見ていても面白いんですよね。
総合の試合というのはリスクをとるか安全(セーフ)をとるか、局面ごとに選択の連続なんですけど、僕も含めて多くの選手はセーフをチョイスしがち。でも、達郎の場合、普通はセーフを選びそうな局面でもリスクをとって果敢に攻めたりするんです。本当に勇敢な選手ですよね。試合前はネガティブで、ビビリのくせに(笑)。
――過去の平良選手の試合を見たのですが、平良選手の打撃で相手がガクッとなった一瞬の隙をつき、一気にバックへ回ってフィニッシュをとっていました。あそこで果敢に攻められるのが、平良選手なんですね。
岡田:そのシーンでいうと、打撃を受けた相手は完全に失神しているわけではないので、反撃してくるかもしれないわけです。普通の選手はそう考え、せいぜい上のポジションをとって相手を制圧している形を見せ、ジャッジに良い印象を与えようとします。でも、達郎はそこで積極的にバックをとりにいくチョイスをする。だから、試合を見ていても面白いんですよね。
――ここからは平良選手の『NARUTO-ナルト-』愛についてお聞きしていきたいです。平良選手はリングの上で「午の印」を結ぶほど、『NARUTO-ナルト-』がお好きなんですよね?
平良:もう、大好きで。もし許されるなら、試合の時に木ノ葉隠れの里の額当てをつけて入場したいですね。
――そこまで『NARUTO-ナルト-』を好きになったきっかけは何だったのでしょうか?
平良:はじめは兄の影響で、気付いたら一緒にアニメを観ていました。それが小学3年生くらいで、1話からしっかりと観ていったのは中学1年生の頃からですね。僕の学校は他の作品派の勢力が強くて、よく友達と本気で喧嘩をしていました。「(両作のキャラクター同士を)戦わせたら、絶対にナルトのほうが強いから!」と言い張って(笑)。
――平良選手の好きなキャラクターは?
平良:中学生の頃はデイダラでしたね。手のひらに口の絵を描いて遊んでいました。
特に、 デイダラとサスケの戦いが大好きで。
平良:もう、大好きで。もし許されるなら、試合の時に木ノ葉隠れの里の額当てをつけて入場したいですね。
――そこまで『NARUTO-ナルト-』を好きになったきっかけは何だったのでしょうか?
平良:はじめは兄の影響で、気付いたら一緒にアニメを観ていました。それが小学3年生くらいで、1話からしっかりと観ていったのは中学1年生の頃からですね。僕の学校は他の作品派の勢力が強くて、よく友達と本気で喧嘩をしていました。「(両作のキャラクター同士を)戦わせたら、絶対にナルトのほうが強いから!」と言い張って(笑)。
――平良選手の好きなキャラクターは?
平良:中学生の頃はデイダラでしたね。手のひらに口の絵を描いて遊んでいました。
特に、 デイダラとサスケの戦いが大好きで。
それまでは、あまり強いイメージがなかっただけに、道連れ寸前までサスケを追い詰めたことにも驚いたし、でも結局は最後まで写輪眼に敵わないところにも心を打たれました。デイダラのキャラクター自体も面白くて魅力的ですよね。
それから、やっぱりナルトですね。特に「仙人モード」を覚えた時のナルトが一番好きです。
それから、やっぱりナルトですね。特に「仙人モード」を覚えた時のナルトが一番好きです。
当時は「自来也でも勝てないペインをどうやって倒すんだろう?」と思っていましたが、仙術を覚えれば勝てるかも、という希望が見えて修業をする。修業を経て成長するところも魅力ですよね。僕自身も、対戦相手の弱点が寝技だったとしたら、そこを徹底的に鍛えます。相手に勝つための方法が見つかった時の練習って、普段以上に楽しく感じるんです。ナルトの修業も、それに通じるものがあるなって。
――『NARUTO-ナルト-』ではどういう修業をすれば相手を制することができるのか、その筋道までも、しっかりと描かれますよね。
平良:そうした理論だっているところも『NARUTO-ナルト-』の魅力ですね。単純にパワーがあるほうが勝つわけじゃなくて、チャクラの性質の相性とかもある。それを踏まえた戦いの駆け引きみたいなところも面白い。
――平良選手が好きな性質を選べるとしたら何にしますか?
平良:雷ですかね。カカシとかダルイとか、好きなキャラクターが雷の性質を持っていることが多くて。
――『NARUTO-ナルト-』ではどういう修業をすれば相手を制することができるのか、その筋道までも、しっかりと描かれますよね。
平良:そうした理論だっているところも『NARUTO-ナルト-』の魅力ですね。単純にパワーがあるほうが勝つわけじゃなくて、チャクラの性質の相性とかもある。それを踏まえた戦いの駆け引きみたいなところも面白い。
――平良選手が好きな性質を選べるとしたら何にしますか?
平良:雷ですかね。カカシとかダルイとか、好きなキャラクターが雷の性質を持っていることが多くて。
あと、雷切がかっこいい。カカシが角都を雷切で、背後から音もなく貫くシーンが好きなんですよ。
――ちなみに、岡田さんから見て、平良選手は『NARUTO-ナルト-』のどのキャラクターに近いと思いますか?
岡田:やっぱりナルトじゃないですかね。さっきも言いましたけど、達郎は幼少期から格闘技をやってきた格闘エリートでは決してない。だから、小さい頃に中忍試験があったら、おそらく落第していたと思います。でも、諦めずに、毎日毎日練習して、練習して練習して強くなってきた。そんな、ど根性を持った人間だから、やっぱりナルトに通じるものがあると思います。
岡田:やっぱりナルトじゃないですかね。さっきも言いましたけど、達郎は幼少期から格闘技をやってきた格闘エリートでは決してない。だから、小さい頃に中忍試験があったら、おそらく落第していたと思います。でも、諦めずに、毎日毎日練習して、練習して練習して強くなってきた。そんな、ど根性を持った人間だから、やっぱりナルトに通じるものがあると思います。
それに、師匠との関係性もナルトに近いのかなと。ナルトって、最初の師匠はイルカ先生で、そこからカカシ、自来也、最後はちょっとだけ復活した父親のミナトと、ずっと師に恵まれているじゃないですか。達郎の場合も松根良太先生という、イルカ先生にあたる最初の師匠がいます。彼はどれだけ強くなっても、その先生のもとで修業を怠らない。師匠と弟子の関係性をずっと大切にしているところも、ナルトっぽいのかなと感じますね。
平良選手の強さの秘密、『NARUTO-ナルト-』に対する思いをたっぷり伺ったところで、ここからは「実技編」。『NARUTO-ナルト-』屈指の格闘キャラ、ロック・リー&マイト・ガイの体術を平良選手に再現してもらおう。なお、今回は平良選手自身がやってみたい技、隙あらば使ってみたい技を実践。
まずは、漫画のコマを参考に体術を再現。その後、UFCの試合でナルトの体術を使った場合も実践してもらいポイントを解説していただいた。
まずは、漫画のコマを参考に体術を再現。その後、UFCの試合でナルトの体術を使った場合も実践してもらいポイントを解説していただいた。
最初の技は「木ノ葉烈風(ロック・リー)」。
相手の足元を素早く蹴り、転倒させる強烈な下段後ろ回し蹴り。超スピードで相手の足を一気に薙ぎ払う、見た目以上に難しい技だと思われるが、平良選手にかかればこうなる。
「木ノ葉烈風」をもし試合で実践するのであれば……
●平良選手に聞いた「木ノ葉烈風」の実践ポイント
平良選手 「上段蹴りをキャッチできたなら、「木ノ葉烈風」のチャンスですね。右足の蹴りが来たら左足が軸になり体重が乗っているので、足払いが決まれば簡単に相手は倒れるかと。組み技や、有利なポジションでの打撃に繋げていける技ですね」
続いての技は「ダイナミック・エントリー(ロック・リー&マイト・ガイ)」。
敵の真正面から突っ込む大胆な飛び蹴り。ほとばしる青春の勢い、ただそれのみでダイナミックに敵を圧倒する。
「ダイナミックエントリー」を実践で繰り出すなら……
●平良選手に聞いた「ダイナミック・エントリー」の実践ポイント
平良選手「総合格闘技に『前蹴り』という技がありますが、それに似ていますね。より勢いをつけた前蹴りという感じです。試合で出すとしたら、完全に奇襲かな。ゴングと同時に相手に向かっていって、そのまま胸のあたりを蹴って金網に押し込む。大技なので2回目は警戒されるだろうから、それを逆手にとってフェイントとして使い、タックルで下半身をとりにいくのもアリだと思います」
続いては「木ノ葉旋風(ロック・リー&マイトガイ)」
敵に向かって飛びかかりながら、上段後ろ回し蹴りから下段後ろ回し蹴りを連続で放つ高速体術。普通の人間はそんなに高速で回ったりできないと思うが、平良選手の場合はどうだろう。
「木ノ葉旋風」は実践だとどうなるのか……?
●平良選手に聞いた「木ノ葉旋風」の実践ポイント
平良選手「バックスピンのキックはよくやるんですけど、動きとしてはそれに近いかな。大技だから隙も生まれそうだけど、最初の上段蹴りの時にかかとで相手の顔面を狙うと面白いかもしれないですね。回し蹴りは体重も乗せられるので、固いかかとがヒットすればKOできると思います。オープンフィンガーグローブの隙間から急所のテンプル(こめかみ)を狙うのがポイントかな。もし、上段が外れたとしても、2発目の下段回し蹴りで体制を崩せる可能性もありますね」
どんどんいこう。4つ目の技は「木ノ葉昇風(ロック・リー)」。
相手を高く蹴り上げ、武器を吹っ飛ばす。これまたシンプルながら、相当な脚力と身体のバネ、柔軟性が要求されそうな技だ。
「木ノ葉昇風」は実践で使うならどうなるのか!?
●平良選手に聞いた「木ノ葉昇風」の実践ポイント
平良選手「これって背の高い相手をジャンプして蹴り上げる技だと思うんですけど、総合格闘技は階級制で相手と体格もほぼ同じなので、あまり使うシチュエーションがないかもしれません。使うとしたら立った状態ではなく、自分が寝た状態の時かな。相手に倒されて上から抑えこまれようとした時に、起死回生を狙って繰り出すのがいいと思います。相手の顎を狙って、足の裏で蹴り上げる。うまく決まればKOもありえますね」
最後は「木ノ葉剛力旋風(マイト・ガイ)」だ。
何人たりとも見極めることのできぬ速さで回転する後ろ回し蹴りに、圧倒的な剛力を乗せて叩き込む。その速さは回避することを許さず、その剛力は防御することを許さない。……という、ものすごい技だ。
要するに、木ノ葉旋風に「剛力」を加えた技である。言うのはカンタンだが、ガイ先生以外、たぶん誰もできないやつ。
要するに、木ノ葉旋風に「剛力」を加えた技である。言うのはカンタンだが、ガイ先生以外、たぶん誰もできないやつ。
さすがに「木ノ葉剛力旋風」は実践では無理なのでは……?
●平良選手に聞いた「木ノ葉剛力旋風」の実践ポイント
平良選手「相手をゲージ近くに追い込み、逃げ場をなくすことでよりダメージを追わせることができます。体を捻りながら体重を乗せた蹴りは相当の威力がでるので、レバー(肝臓)に当てれば相手は立ってられないんじゃないかな」
漫画の絵を見ただけで正確に動きを再現できるとは、さすがUFCの頂点を伺う男の身体能力はすごい。
ちなみに、これらの技は総合格闘技の試合でも使えるものなのか? 最後に実践の動きを想定して、4つの技を連続で繰り出す「平良連弾(たいられんだん)」をシミュレーションしてもらった。
ちなみに、これらの技は総合格闘技の試合でも使えるものなのか? 最後に実践の動きを想定して、4つの技を連続で繰り出す「平良連弾(たいられんだん)」をシミュレーションしてもらった。
『NARUTO-ナルト-』体術の連続技からの、平良選手の得意技である絞め技で相手を落としてフィニッシュ。これには『NARUTO-ナルト-』好きが多いアメリカのファンも大喜びだろう。いつかUFCのオクタゴンで、木ノ葉旋風が炸裂する日が来るかもしれない。
――いやあ、本当にお見事でした。最後にお聞きしたいのですが、平良選手が『NARUTO-ナルト-』から学んだことは何でしょうか?
平良:たくさんありすぎて難しいな……。やっぱり、一番はナルトが夢を口に出して実現していく姿ですかね。自分は火影になるんだと言い続けて、実際に行動する姿には感動します。最初は周囲の誰もが無謀な夢だと思っていたとしても、徐々に「こいつならもしかして……」となり、最終的には「ナルトしかいないよね」みたいな感じになるじゃないですか。たとえ遠い夢でも、自分自身で100%信じることの大切さを学びました。いや、学んだというより、真似したいところですね。
――平良選手にも「UFCチャンピオンになる」という夢があります。
平良:僕自身も、プロになりたての頃に「UFCで一番になる」なんて言っても、絶対に無理だと思われていたはずですし、自分自身でも出場するイメージすら湧かなかった。でも、今は全く抵抗なく「チャンピオンになりたい」と言い切れます。そこにどんどん近づいて、有言実行していく姿を見せられる選手になりたいですね。
――平良選手にも「UFCチャンピオンになる」という夢があります。
平良:僕自身も、プロになりたての頃に「UFCで一番になる」なんて言っても、絶対に無理だと思われていたはずですし、自分自身でも出場するイメージすら湧かなかった。でも、今は全く抵抗なく「チャンピオンになりたい」と言い切れます。そこにどんどん近づいて、有言実行していく姿を見せられる選手になりたいですね。
取材・文:榎並紀行(やじろべえ)
撮影:小野奈那子
撮影:小野奈那子